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粉末油ゲル化剤懇話会
「粉末油ゲル化剤懇話会」は、平成7年11月30日に施行された「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則」の一部改正により認められた「粉末油ゲル化剤」を扱うメーカーを中心として作られた団体です。油をゲル化(液体が流動性を失い、弾力性と硬さをもつゴム上またはゼリー状にする)することによって回収を容易にする、「粉末油ゲル化剤」の実態が正確に認識され、合理的かつ効果的に使用されるための各種啓蒙活動を行っております。
以下「粉末油ゲル化剤」に関して懇話会メンバーの商品のうち、型式承認を取得したものに共通する範囲の概要を述べています。
なお、商品ごとの特性については各メーカーにお問合せ下さい。

 
粉末油ゲル化剤の特徴
ゲル化の原理
使用方法
回収方法
液体化学物質への対応
粉末油ゲル化剤適合性判断基準
懇話会メンバー

粉末油ゲル化剤の特徴
 

油ゲル化剤とは、接触した油の流動性をゲル化により低下させ、液状の油を物理的に除去、回収することを目的としたもので、次の点が「粉末油ゲル化剤」の主な特徴として挙げられます。

1) 油に接触すればゲル化させることができるので強制的な攪拌が不要です。このため広範囲に手早く散布することができます。
2) 水の有無に関係なくゲル化します。また、ゲル化した油は水に浮くので回収が容易です。
3) 「粉末油ゲル化剤」自体は水に溶けず、浮くので未反応の余剰分は回収が容易です。
4) 「粉末油ゲル化剤」のゲル化は化学反応ではありません。
5) 「粉末油ゲル化剤」は実用上毒性の心配はありません。
6) 回収されたゲル化油は焼却することができます。
7) 粉末状のものであり、保管、運搬及び取扱いが便利です。

 

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ゲル化の原理
 

「粉末油ゲル化剤」は高分子ポリマーを主材料とし、効果的な作用及び安定保存等のために必要な添加剤を混合しています。
 主成分の高分子ポリマーが油分を取り込み組成内に封じ込めて流動性を制限する性質を利用し、油を捕捉する機能(親油基と油分子の親和カ)及びネットワーク形成機能(分子間の絡みつき)が同時に進行してゲル化油が生成されます。高分子ポリマーが油と接触すると溶解が始まり分子鎖がほぐれ、分子問の結合が弱くなるか消滅すると高分子ポリマーは溶けてしまいますが、下図のように分子鎖の絡み合いが十分残っている状態で溶解が停止(膨潤)し、時問の経過とともに生成したゲル化油の硬さが増加します。
 この機能は油分についてのみ作用し、水には反発するので油水混在の状態から油だけを分離してゲル化させます。ただし、表面に付着した水まで排除することはできませんので、生成したゲル化油には水分が含まれます。

 

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使用方法
 
1) 油の拡散が少ないうちに迅速に「粉末油ゲル化剤」を散布することが原則です。油が広く拡散したり、ムース化してからでは効果が減少します。散布する量は状況によりますが、流出油量の20%を初期目安として必要に応じて追加するように考え、過剰散布を避けて下さい。
2) 油と接触した「粉末油ゲル化剤」がゲル化油を生成し水面に浮かびます。この場合は、ゲル化反応を生じさせるために強いて攪拌する必要はありませんが、できるだけ油と「粉末油ゲル化剤」が接触するように扱うと効果があがること及び散布した「粉末油ゲル化剤」層が重なると効果が下がることから、状況によっては適宣攪拌すると有効です。
3) 粉状で軽いものですから、現場の状況に適した散布方法を選んで下さい。小規模の範囲であれば人手による散布は容易です。風波等により散逸するおそれが大きい場合は動カ利用の散布器具が適当です。
4) 油が浮いている範囲をオイルフェンスで囲い、油の拡散を防ぎながら措置することは流出油対策の原則であり、「粉末油ゲル化剤」を使用する場合も同じです。オイルフェンスが使えない場合または展張が遅れる場合には、油域の外周部を優先して「粉末油ゲル化剤」を散布し、ゲル化域を内側に絞り込む方法が効果的です。
5) 次のような場合には「粉末油ゲル化剤」を使用しないで下さい。
 ・流出した油が燃えているとき
 ・生成したゲル化油の回収が気象、海象等により困難と判断されるとき
 ・他の回収法または防除作業が効果的に進められているとき
 ・液体ゲル化剤、油処理剤が散布されているとき
6) 使用者は保護メガネ、マスク、手袋等を着用して作業して下さい。なお、できるだけ身体を露出させないで下さい。特記する毒性はありませんが、目に入ったり誤って口に入ったときには真水で洗浄、うがいをし必要に応じて医師の診察を受けて下さい。

 

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回収方法
 
1) 「粉末油ゲル化剤」により生成されたゲル化油は、タモ網等を使用して回収して下さい。実験では、条件よく生成したゲル化油を人手で引き寄せ、持ち上げることができました。
2) ゲル化油を水面から持ち上げた後に適宜水切りして下さい。
3) 回収作業の末期に残ったゲル化油の細かい塊や未反応の「粉末油ゲル化剤」には、できるだけ細かい網目のものを使用して下さい。「粉末油ゲル化剤」の粒子は1.7o以下の網目で回収することができます。
4) ゲル化油が広がった範囲の水面を取り囲んだオイルフェンスを絞りこむ方法、放水により拡散したゲル化油を集める方法等により効率よく回収することができますが、広範囲に拡散した場合には収集ネットを曳航船で移動させる必要があります。収集ネットを曳航するには2隻が効果的にネットを開くように、また、自船の引き波で無駄に拡散しないように曳航して下さい。操船者はゲル化油を冷却水取入口に吸入しないように注意して下さい。
5) 回収したゲル化油の付着物質が特定できない場合が多いので、廃棄処理については専門の産業廃棄物処理事業者に依頼して下さい。特に海面から回収したゲル化油を不用意に焼却することは避けて下さい。

 

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液体化学物質への対応
 
1) 現在多くの液体化学物質が各種の輸送手段によって運送されていますが、そのなかには流出した場合に危険性の高い物質も含まれています。
これらの危険な液体化学物質が流出したときに「粉末油ゲル化剤」によりゲル化させて流動性及び揮発ガスを抑えることを目的に実験した結果を説明します。
2) 「粉末油ゲル化剤」は排出油の防除を目的に開発、実用化した商品ですが、現場作業の経験から液体化学物質に対する抑制効果に注目し実験してみました。
現在輸送されている液体化学商品は多種多様であり、実験の対象に選出したサンプルはこれらのうちの極く一部に過ぎませんが、実験した結果では「粉末油ゲル化剤」を散布することにより特定の物質に対しては凝固させ、揮発性を抑制する効果が認められました。今後も対象物質を増やして実験すること及び現有の「粉末油ゲル化剤」を改良することを計画しています。
3) 対象サンプルは海上の輸送量が多い液体化学物質(明らかにゲル化しないものは除外)の上位17物質を選出しました。
対象サンプルの一般的性状は次のとおりです。

  品  名 CASNo. 20℃
密度
引火点
(℃)
蒸気圧(mAPa)
1 キシレン 1330-20-7 0.880 34.4 5 (20℃)
2 スチレン 100-42-5 0.906 *31.1 5.2 (20℃)
3 ベンゼン 71-43-2 0.879 -11.1 75 (20℃)
4 1.2-ジクロロエタン 107-06-2 1.257 17 100 (20℃)
5 アクリロニトリル 107-13-1 2.39 - 83 (20℃)
6 トルエン 108-88-3 0.867 4.4 24.3 (20℃)
7 シクロヘキサン 110-82-7 0.778 -20 100 (25.543℃)
8 クレオソート
(コールタール系)
8001-58-9 1.03 >71 <1 (20℃)
9 オクタノール(n) 111-87-5 0.827 81 0.6 (20℃)
10 ブチルアルコール(n) 71-36-3 0.810 37.8 4.39 (20℃)
11 アセトン 67-64-1 0.789 -17 184.8 (20℃)
12 酢酸ビニル 108-05-4 0.934 -8 90 (20℃)
13 メタクリル酸メチル 80-62-6 0.944 10 31 (20℃)
14 プロピルベンゼン 103-65-1 0.862 47 -  
15 メチルエチルケトン 78-93-3 0.804 -7 71.2 (20℃)
16 フタル酸ジオクチル 117-81-7 0.978 *218 1.2 (20℃)
17 シクロヘキサノン 108-94-1 0.950 33 3.4 (20℃)
※注・・・引火点、は*マークのものは開放式測定値、その他のものは密閉式測定値

 

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粉末油ゲル化剤適合性判断基準
 

「粉末油ゲル化剤」は排出油防除資材として法令に規定される要件に適合していますが、対象とする油類の種類が千差万別であり、かつ、使用する際の環境条件等も違いますので、現場で使用する前に適合性を確認することをお勧めします。
適合性を確認するため実施する手順は次のとおりです。

1) 容器(ビーカーまたは透明なガラスコップが適当)に現場の水を入れ、現場で採取した油を加えて油層が安定するまで静置します。この場合、コップ1杯の水に対して油は小サジ半量程度が適量です。
2) 油量の約20%(質量比)の「粉末油ゲル化剤」を油面に均一に散布します。散布量は厳密でなくても差し支えなく、油表面に散布した後若干表面に「粉末油ゲル化剤」が残る程度の見当です。
3) 散布後暫く放置(油種、温度等により差がありますが15〜30分程度)して反応を観察します。
4) ゲル化油が生成されピンセット等でつまむことができる程度に固まれば適合性があると判定できます。
5) 容器からゲル化油を除去した後の水に残留油分が少ないことを確認して下さい。
6) 別の容器に現場の水を入れ「粉末油ゲル化剤」を少量散布し、攪拌した後放置して「粉末油ゲル化剤」が浮上することを確認して下さい。

 

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懇話会メンバー
  平成13年4月1日現在(社名50音順)
粉末油ゲル化剤
商品名
型式承認
番号
承認日
(平成)
会社名
アルファゲル−1000
アルファゲル−1650
P-526
P-527
8.2.22
8.2.22
(株)アルファジャパン
 〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目9番6号
          三原橋ビル3F
 TEL:03-3547-3551 FAX:03-3565-5221
ゲルカクリンGP-100
ゲルカクリンGP-100S
P-528
P-529
8.4.9
8.4.9
タイホー工業(株)
 〒108-0073 東京都港区港区三田3-11-26
 TEL:03-6414-5607 FAX:03-5446-3624
カクタスオイル
ハードナーZ-1
P-534 8.4.25 (株)テスコ東京営業所
 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-2-5
 TEL:03-5256-5791 FAX:03-5256-5797
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